あなたが大好き・・・
今は遠くから見ていることしか出来なくても
誰よりあなたのことを1番に想っていていいですか・・・?








HAPPY DAYS☆







「おーい!ミヤ!!(@∀@)ノ」



朝練を終えた野球部が続々と部室に入って行く中
彼は先輩に呼び止められて立ち止まった




「あー?何っスか」

「そんな嫌そうな顔するな気ー・・・(`皿´)コレ何だ♪(`∀´)」



えーと、朱牡丹?だっけ・・・っていう先輩が
御柳くんの目の前に写真のような切抜きみたいなモノをちらつかせた
それを確認した彼は、すごく嬉しそうな顔をして
朱牡丹先輩からそれを奪うと、上機嫌で部室に入っていった
そして、それを『コラ!ミヤー!!(>д<;; 』と先輩は追いかけていった



いつもと変わらない日常




それでも今日は、昨日よりほんの少しだけ
ほんの少しだけだけど・・・御柳くんの近くですれ違えた
他の子達は積極的に話しかけたりしてるから
こんな些細な事になんて大して大きな意味も持たないんだろうけど・・・
私にとっては、たったこれだけでも嬉しくて仕方がない






+++






「で?愛しの王子様とはまだ1度も話せてないの?」





私の前の席に腰掛けて、親友のが呆れた様に言う
その言葉に私はただ曖昧に笑うしか出来なかった


だって、声をかけるなんてすごく勇気がいることだもの・・・
私って見かけどおり小心者だし
それに私みたいな大人くて面白くも何ともない子に話しかけられても
きっと御柳くんの迷惑にしかならないと思うの



勇気がない私には、ただ遠くから見つめるしか出来ないの




「あのねぇ、そんな悠長なコト言ってると誰かに取られるよ?」

「うん・・・でも、私って別に目立つ子じゃないし」

「御柳みたいなハデなやつにはくらい控えめの子がいいよ」

「え、なんで?やっぱり御柳くんに合うような・・・」

「・・・あんなのが二人も学校にいてほしくないわ」




とりあえず、そろそろ行動したら?
それだけ言って、は自分の教室に帰っていった
少しして授業の開始を告げるチャイムが鳴ったので
私も教科書やら筆記用具を出して、いつものように文庫本を読んだ



・・・こんな風にいつも一人でいるから暗いとか思われちゃうのかな(汗)






+++






「今日は天気いいから屋上行こ!」



のその言葉で、私たちは昼食を屋上で採ることにした
うん、確かに今日は超が付くほどキレイな青空だもんね
教室で静かに食べるよりお外で食べた方が気持ちいー



購買で飲み物を買ってくるというの分のお弁当を持って
私はちょうど日陰になっている場所に腰を下ろした
日陰は少し涼しくてひんやりしたけど
太陽の光をたくさん浴びたアスファルトからの熱気とで
その一角に心地よい空間を作り出していた



しばらくするとギィっと古い扉独特の音がして
誰かがこの屋上に上がってきたんだとわかった
かな、と思って顔を覗かそうとしたけど、その主の声を聞いて
私は出しかけた頭を一気に元の場所へと引っ込めた




「やっぱ気持ちいーっスね、屋上♪」

「結構暖かいング・・・」

「たまには屋上で食べるのもよさ気(´∪`)」




私はその声を聞いて、一瞬にして鼓動が早くなった
今日は何ていい日なんだろう・・・!

でも、そんな私の想いは先輩方との会話で消え去った




「で、ミヤ?今朝、写真やったんだから話聞かせる気(@∪@?)」

「えー・・・別に進展ないっスよ?」

「そんなこど言っで・・・ミヤは手早そう゛ング」

「失礼なこと言わないでくださいよー、本命には真剣なんスって」




・・・・・・・・本命?



そっか・・・そうよね・・・
御柳くんだって感情のある普通の男の子だもの
好きな人の一人や二人くらいいて当然よね
わかってたハズじゃない、私なんかとは世界が違う人だって




それなのに・・・どうして涙が流れるの?





「ぅわ!御柳・・・くん!!」

「あー?・・・えと、・・・さん?」




しばらくしてもう一度扉が開き、が入ってきたようだった
それでも放心していた私にはその音は聞こえてなくて
に肩を揺すられるまで彼女の登場に気が付かなかった



「・・・!?っ!?何泣いてんの!?」



驚いて私の目の前にしゃがみ込むを振り切って私は屋上から飛び出した
一瞬だけ・・・御柳くんと目が合ったような気がした
ううん、でも誰でもびっくりするよね、泣いてる子がいきなり出たら



「あれ?ミヤ、さっきの子・・・(@⊆@;)」



誰かが何かを言ってた気がするけどもう何も聞きたくない
がむしゃらに走り続けたけど、中庭に差し掛かった所で誰かに手を掴まれた




「・・・・・・っ!?」

「ちょ・・・何泣いてんだよ」



息を切らしながら、私の腕を掴んだのは御柳くんで
私は彼との突然の交流に戸惑い
届かないと知った気持ちの存在が悲しくて涙を止められなかった






「・・・たし・・・御柳く・・・が、スキな、の」





掴まれていない方の手で瞳を擦っていた私の口からは
そんな言葉しか出てこなかった


いつかは彼に伝えようとした言葉・・・
でも本当はもっといい雰囲気の時に言いたかった・・・
私を選んでくれなくていいから、この気持ちだけ知っててほしかった





「・・・・・・・俺も」

「・・・・・・冗談とかならやめて」

「俺ものことスキっスよ?」

「でも、他・・・に好きな人いる・・・って」




私の頭は、彼の言ったことを理解できなくて一生懸命動いた



ウソ・・・本当に?
ねぇ、私のことスキって本当に本当なの?




「こんな時に冗談は言わねぇよ・・・あ、証拠あるぜ♪」




そう言って彼は生徒手帳を取り出して、あるページを開いて私に見せた
そこには、いつ撮られたのだろうか・・・
笑顔で誰か(たぶん)と話している自分の写真があった




「今朝、朱牡丹先輩に貰ったんスよ♪」

「え・・・じゃあ、さっき言ってた本命・・・って」

のことだけど?まさか本人いるとは思わなくて焦ったし」

「あ、ゴメンなさい・・・」




ぱっと顔を上げたら、大好きな御柳くんの顔があって
私は思わず赤くなってしまって、彼から目を逸らすように俯いた




「俺のことは芭唐でいいからv俺もって呼ぶし」

「・・・・・・へ?」

「付き合うんだから名前で呼び合うのは当たり前っしょ?」

「・・・あ、うん・・・」




へへっと笑って、私の手をとって歩き出した御柳くんが可愛くて
私は今日一日でもっともっと彼のことを大好きになった



あなたのことが大好き・・・
今までは失恋が怖くて歩み寄ろうとしなかった私だけど
明日からはもっともっとあなたの事を知りたいと思うから
あなたの一番近くで、あなたを1番に想わせてください・・・


















END